ホタル百科事典ホタルの飼育と観察日誌

東京にそだつホタル

ゲンジボタルの飼育と観察日誌(2003年5月)

2003年5月1日

今日から風薫る5月である。来月は待ちに待ったゲンジボタル乱舞の季節である!
午後9時に水槽を観察すると、2匹が陸地を発光しながら這っていたが、今日上陸したゲンジボタル幼虫ではなく、昨日上陸した幼虫が一度土に潜り、再び今日の夜になって這い出してきたらしい。水槽中を這い回り、一度水の中に戻ったり、再び陸地に上がったりとかなりうろうろしている。狭い水槽の陸地では、なかなか適する場所がないらしい・・・・。
水中の石をどかしてみると、まだ終齢幼虫が多くいる。上陸が始まっておよそ1週間が過ぎたが、まだ初期段階のようである。人工的に霧吹きで降雨に似た状況をつくると若干は上陸するようだが、西日本型の集団行動はまったく見られないし、上陸初日のような気象条件にはならない。ここしばらくは、天候が良いようなので全ての幼虫が上陸するまで、まだ時間がかかりそうである。
余談であるが、熱帯魚の王様と言われるディスカスの飼育経験で、随分と水づくりについて勉強し、水質、濾過、バクテリアについての知識が身に付いたが、先日、ヘラクレスオオカブトのリッキーという亜種の幼虫を単なる趣味で購入にした。これらカブトムシの幼虫の主食は土(腐葉土)であるが、これがなかなか奥が深い。この経験と知識が、ゲンジボタルの幼虫の上陸する土について多いに役立つことと思う。
午後11時に観察すると、4匹が土の上を這っていた。2匹は土からはいだしてきたものだが、もう2匹は上陸したものか土からはいだしてきたものか区別がつかない。

2003年5月2日  メスのゲンジボタルの幼虫上陸

朝7時。昨晩うろうろしていたゲンジボタルの幼虫が、まだ土に潜らずに土の上にいた。朝日を浴びるとあわてたように落ち葉の下に隠れていった。
夜21時。4匹が土の上を這っていた。そのうち1匹は朝の幼虫と思われる。しかし、3匹は今日上陸したと思われる。しかも、3匹ともこれまで上陸していた幼虫とは1まわり以上大きいのである。おそらく「メスの幼虫」と思われる。通常、成虫の発生はオスが早く、メスが1週間ほど遅れるが、上陸もメスの方が後からのようである。今日は、上陸初日から丁度1週間である。
上陸幼虫はひじょうに敏感で、ちょっとした刺激で体を縮めて動かなくなってしまう。ほとんど毎日のように写真撮影しているが、撮影用のケースに移動すると2〜3時間は、体を縮めたまま動かない。

2003年5月4日  今期一番多いゲンジボタルの幼虫の上陸

ここ2日は日中夏日となり暑い。天気はとてもよく、雨はまったく降らない。2日3日と夕方の霧吹きをしないと、幼虫もまったく上陸しなかったが、今日は日没時に霧吹きをすると20時過ぎより上陸が始まり、21時は7匹上陸していた。水中から次々と陸地にむかって這い出してくる。水中でも発光するが、その光りはそれほど強くない。しかし、体が水中から出るとその発光は一段と強くなる。どの幼虫も1日同様大きいものばかりである。
23時半に観察すると、10匹が上陸していた。60cm水槽では、かれらの光りで満ちあふれるように美しく見える。写真を撮影したくても、いつもこの頃になるとワイン1本分の酔いがまわってそれどころではないのが残念である。
これまでもそうであったが、水を足す時はペットボトルで行うが、水面ぎりぎりに静かな行うのではなく、高さ20cmから少しずつ落とすように行っている。この時、夜間であれば水中の幼虫が一斉にその刺激で発光するのである。そして、その後に霧吹きを行えば必ず上陸している。これはつまり、降雨同様で、水滴が水中に伝える振動・周波数が上陸を誘発しているのではないかと思われる。

ホタルの幼虫の上陸数グラフ

2003年5月5日

今朝観察すると、昨晩の上陸幼虫はすべて土中に潜ったようである。あちらこちらに直径5mmほどの穴が開いていた。
午後は、4月29日に撮影用の分解式小型水槽に上陸させた幼虫の様子を見るために、慎重に土を掘ってみた。深さ3cmのところに土まゆをつくっていた。土まゆの大きさは、縦2cm・横1.3cmの楕円形で、まゆの厚さは1mmしかない。幼虫が分泌した粘液によって小さな土の粒がくっついており弾力性があるが、けっして丈夫ではなかった。この丈夫さの度合いは、土質によって違いがあるかも知れない。まゆは、ほぼ垂直に立っており、そのなかで幼虫は縦に丸くなっている。横に寝ていて丸くなっているのではない。撮影後は、側面のガラス蓋をはずせばいつでも観察することができるように土を元に戻し、光りが漏れないように周囲を黒い紙で覆った。

2003年5月11日

観察日誌はおよそ1週間ぶりであるが、観察は毎日行っている。ここのところすっかり上陸が見られなくなり、もうすべての幼虫が上陸してしまったかと思ったが、水槽の石を2つどけてみると、まだ大きな終齢幼虫が10匹隠れていた。石はまだいくつもあるし、目視できた上陸幼虫数からいって、まだ相当数のゲンジボタル幼虫が水中にいると思われる。初上陸から2週間が過ぎたが、全体の1/3は未上陸である。
成虫の発生時期が3週間前後であることを考えると、幼虫の上陸も同じくらいの期間になることは納得がいく。しかし、残りの幼虫はいつになったら上陸するのだろうか。また、彼らの上陸が遅い理由は何だろうか。遅くしている要因は?
カワニナ飼育水槽では、親貝は7匹である。ホタルにはここ一ヶ月まったく与えていなかったが、2匹ばかりゲンジボタルの水槽に入れてみた。カワニナ飼育水槽では、2〜3mmの稚貝が1000匹くらい成長している。昨年もこのような状況であったならば、1齢幼虫に苦労なく与えられたのだが・・・・。

2003年5月12日  今期一番の上陸数を更新!

午後21時。帰宅と同時にペットボトルと新しい水を高さ20cmから静かに落とし入れる。ペットボトルの水は、水中に直接落とし入れるのではなく、水から半分出ている石の上に落としている。つまり、水はぴちゃぴちゃと跳ねるのである。そして霧吹きを少々する。21時30分。2匹が上陸を開始していた。22時30分。水槽を見ると、12匹が上陸をしていた。次から次ぎへと水中から這い上がり、光りながらの上陸である。水槽の淵を1列になって4匹が上陸している。
気象データは明日に解析してみるが、朝からずっと曇りで体感的には1日中気温は同じように感じた。この条件において、ペットボトルから落とし入れた水が水中の幼虫に雨と同じ振動を伝え、さらに霧吹きによって湿度が高められたことにより、多くが上陸したと思われる。

2003年5月13日

以下に示すグラフは、5月1日〜12日までの降水量と上陸数の推移である。

降水量   ホタルの幼虫の上陸数


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