ホタル百科事典ホタルの飼育と観察日誌

東京にそだつホタル

ヘイケボタルの飼育と観察日誌(1975年-2)

1976年3月01日 

上陸用水槽に約100匹のヘイケボタルの幼虫を移した。19時頃見てみると、3匹上陸していた。

1976年3月03日 上陸失敗で死亡

水田に水を取りに行って帰ってくると、ヘイケボタルの幼虫が土の上で死んでいた。

1976年3月10日

上陸した幼虫は現在20匹。1つを掘ってみると幼虫が土のまゆの中で丸くなっていた。
幼虫は水際からおよそ10cmのところに潜るものが多い。雨の降る夜に上陸することが多いが、朝でも上陸するものがいる。
幼虫は、土の中でまゆを作るが、中には潜らずに土の表面の草の根元やコケとコケの
間に土を盛り上げてまゆを作るものもいる。

1976年3月11日

今日はとても温かい日だ。学校から帰ってみると、水槽がめちゃくちゃになっている。妹たちがいじってしまったのだ。急いで治す。何とか大丈夫のようである。その後、上陸用水槽の上に、穴のあいたビニールで覆いをした。ビニールの上には、「さわるな!」と書いておいた。

ヘイケボタルの幼虫の上陸用飼育装置

1976年3月15日

今日もとても温かい日だ。上陸用水槽では、15匹くらいの幼虫が水際に集まっていた。水温を見ると32℃もある。日当たりの良いベランダにおいてあり、ビニールで覆いをしてあるためだ。急いで冷蔵庫の氷を25個入れた。水温は18℃に下がった。

1976年3月23日

風は冷たいが、日向はとても温かい。厳しい冬が過ぎ、ようやく春が来た。ヘイケボタルの幼虫もカワニナも活発に活動している。そして、毎晩上陸している。

1976年3月25日

今日は、とても暖かい日で、モンシロチョウやキタテハが飛んでいる。上陸用の水槽では、ヘイケボタルの幼虫の活動が活発になってきた。日当たりの良いところに水槽を置いてあるので、水温の高低差が激しい。早春なのに、32度に達してしまう。1匹の幼虫を観察していると、水温が高くなると幼虫は水底の土の中に潜る。氷を入れて水温を下げてやると出てきた。

ヘイケボタル幼虫  ヘイケボタル幼虫
ヘイケボタル幼虫の頭部                    ヘイケボタル幼虫の尾脚

1976年3月31日

曇り時々晴れのち雨。湿度88%。朝、観察すると、ヘイケボタルの幼虫はカワニナを食べ終わって、土の中に潜っていった。しばらくすると、その幼虫が土から出てきて、またカワニナに向かっていった、天気と違ってあまり変化のない毎日である。

1976年4月08日

つくしが顔を出したのは4月3日だが、寒い日が続く。今日は友人の宇田川くんに幼虫を6匹あげた。

1976年4月15日  幼虫の目を発見

脱皮したばかりの終齢幼虫をシャ−レに移して解剖顕微鏡で観察した。
頭部の左右に黒い点が1つずつあるのを発見した。複眼である。脱皮したばかりの
幼虫は体が真っ白なので容易に観察できた。しばらくすると、丸くなってしまった。

1976年4月16日 上陸幼虫の発光

午後7時に水槽を見ると、1.5cmくらいのヘイケボタルの幼虫が上陸していた。しばらく観察していると
光り出した。2つの青白い光が見える。たった8秒間の出来事だった。

1976年4月25日

今日はずっと曇りだ。午後、幼虫を見にベランダに出てみると、上陸していた。見ているうちに1匹。また1匹。そして1匹・・・。そのうち2匹はみずの中に戻ってしまった。土の上の2匹はうろうろしている。幼虫の頭の先にガラス棒で穴をあけてやると、その穴に幼虫は入っていった。

1976年4月27日

ちょっと変なヘイケボタルの幼虫がいる。死んでいるようにも見える。脱皮とも違うようだ。体色は、透き通った黒。頭部は灰色、腹側は白っぽい。他にも4匹見つけた。

1976年4月28日  実験

ヘイケボタルの幼虫をペトリ皿にいれて、どうしたら発光するか実験した。ペトリ皿をガラス棒で叩いたりゆすったりすると光る。発光時間は、6秒だったり12秒だったり13秒だったり、いろいろである。1cm以上の幼虫しか光らない。

1976年4月30日

午後7時に水槽を見ると、ヘイケボタルの幼虫が2匹上陸していた。次から次ぎと上陸していく。今日は気温も水温も高く、湿度も高い。もちろん雨も降っている。沢山のジャンボ幼虫が、水底から岸辺へ向けて歩いている。中には、水際まで来てからまた水底に戻るものもいる。まるで大運動会だ。いつまでも見ていたい。

1976年6月30日  まゆを発見

数日前に、上陸用水槽を大型のものに変えた。(60cm×30cm×35cm)
今までに上陸した幼虫は約30匹。今日、水槽を見ると「まゆ」を発見した。水面から約25cmの場所で、コケとコケの間に作られていた。土中ではなく、土の上に作っている。まゆの大きさは、縦1.5cm、幅0.7cmの細長いものである。小さい土のかたまりでできている。まゆの上の部分に穴が開いている。中に1.5cmくらいの幼虫が丸まっているのが見える。30匹を代表して1匹が見せてくれたのである。早速ペトリ皿の中にピ−トモスを入れ、中央にまゆを置いた。感激である・・・・。

1976年7月07日

ペトリ皿の中のまゆを見る。すると白いものがある。よく見ると「蛹」だった。黄色がかった白い色をしている。羽、脚などが作られている。揺らしたり、触ったりすると腹部が光る。しかし、成虫のようではなく、幼虫のように2点が光る。

ヘイケボタルの羽化
ヘイケボタルの羽化の様子

1976年7月09日  成虫の誕生

20時に水槽を見る。水槽の蓋を取ると、角の方で光った。水槽をたたくと、また光った。もしかするとと思い、その方向に指をもっていた瞬間、黒いものが動き出した。成虫である。9mmのオスである。この喜びは一生忘れない。


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