ホタル百科事典/ホタルに関する質問

東京にそだつホタル

ホタルの発光時間について

ホタルは何時頃から光りはじめますか?雨でも見られますか?

  ホタルは、何時頃から光りはじめて、鑑賞するには何時頃が一番良いのでしょうか。また、雨の日でもホタルは、飛んでいるのでしょうか。

ホタルの発光時間について

  ホタル(ゲンジボタル)が発光を開始する時間は、全国的に見ておおよそ日没後1時間を経過した頃からです。ホタルが発生する時期の日没時刻は、19時前後ですから、20時頃から発光を始めると思っていただいて良いと思います。しかしながら、この発光を開始する時刻には、地域差があります。東京都内においても、かなりの時間差があります。下図は、都内三カ所の生息地における発光時間を表していますが、同時刻に日没を迎えても、発光開始時刻にかなりの差があるのが解ります。これらの時間差は、生息地の物理的環境によるものが大きいと考えられます。早くから発光を開始する場所は、深い谷にあり、遅くから発光を開始する場所は、開けた水田に隣接しています。つまり、ホタルが発光を開始するには、ある一定の「暗さ」が必要であると考えられます。

ホタルが発光を始める時間
グラフ1.ホタルが発光を始める時間

  ある一定の「暗さ」に達しても、ホタルは一斉に光り始めるのではありません。まず1匹が光り始め、徐々にその数が増えていきます。下図に示すように、発光開始から30分を経過した頃にもっとも多くのホタルが光り、1時間程続きます。この間、しばらく光りながら飛んでは、木の葉に止まり、発光をやめ、そしてまた光りながら飛び立つという行動を繰り返します。これら発光しながら飛んでいるのは、ほとんどがオスのホタルで、近くのもの同士は、同期点滅をします。その後は、発光も次第に少なくなり、23時頃にはほとんど光らなくなります。午前2時から3時頃にも発光しますが、数は多くありません。

  発光行動は、曇りで風のない蒸し暑い夜がもっとも多く見られます。小雨でもほとんど変わりなく見られますが、大雨や、晴れていても月が出ている明るい夜、あるいは気温が17度以下であったり、風が強い夜は見ることができません。ホタルの発生期間はおよそ一ヶ月ですが、こうした条件を考えるとその期間中に彼らが沢山飛び交う日はそう多くないと言えます。発光活動が繁殖につながるわけですから、鑑賞する我々人間は決して彼らの邪魔をしないように心がける必要があります。
  ホタルの鑑賞は20時から21時頃までが一番良いと思いますが、できることならば日没前の明るいうちから行かれることを望みます。まずは、ホタルがどのような環境に生息しているのかをよく見ていただきたいのです。そして、日が暮れていき、1匹また1匹と光りだすホタルから観察していただきたいと思います。


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